座付作者であった井上ひさしに関係する作品のみを専門に上演している「こまつ座」が久々に新作を上演します。井上ひさしの小説をベースに、劇団桟敷童子の主宰者、東憲司が新たに書き下ろした東憲司版『戯作者銘々伝』です。
脚本・演出は、いま最も注目されている演劇人「東憲司」
江戸時代の後期、町人たちの力が大きくなりすぎることを恐れた幕府は、寛政の改革を行い、絵入りの小説本の中でも風俗・世相を書き綴った黄表紙や、遊郭での遊びについて書かれた洒落本などを風俗を乱すものとし、その作者である戯作者たちをも弾圧の対象としていました。
本作は、そんな時代に実在した戯作者たちを描いた井上ひさしの小説「戯作者銘々伝」と、その中に登場する戯作者・山東京伝と若き花火職人の物語「京伝店の烟草入れ」を素材としています。
第47回紀伊國屋演劇賞個人賞、第20回読売演劇大賞優秀演出賞、第16回鶴屋南北賞を受賞し、いま最も注目されている演劇人の一人である東憲司が脚本・演出します。東は、"自分の過去や社会に対して傷を持つ者が、その出来事に対面し、それでも生きていくという普遍的なテーマ"で作品を作り上げていくことに定評があります。
あらすじはこうです。黄表紙で絶大な人気を得た戯作者の山東京伝は、寛政の改革において町人の力が大きくなることを恐れた松平定信により処罰されました。権力に屈し筆を折った京伝は、煙草屋を開きます。そこで、若く純真な花火師の幸吉に出会います。
"この手でお天道様を拵える、それが出来たら死んでもいい。"夜空にあがる一瞬の光に身を捧げる花火師と、書くことに見せられ、コトバと心中した戯作者の数奇な運命はいかに...。
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