SF映画の古典シリーズ最新作、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」。前作「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(11)に続き、高度な知能を持つ猿と人間の対立が描かれる。
猿の群れ約2000頭を率いるシーザー(アンディ・サーキス)が、人類に反旗を翻して10年。猿たちは米サンフランシスコ郊外、広大な森の奥に巨大な共同体を作り上げていた。馬に乗り、道具を使い、軍隊のように狩りをする。シーザーには二人目の子供も生まれ、猿は人間並みの「文明」を手にしていた。
ところが、シーザーの長男ブルーアイズ(ニック・サーストン)が、森に迷い込んだ人間のマルコム(ジェイソン・クラーク)らに遭遇する。人類は10年前、世界中に拡散した猿インフルエンザでほぼ絶命状態に。わずかな生き残りがサンフランシスコの中心でひっそり暮らしていた。シーザーは彼らに「森に近づくな」と警告して追い返す。
猿と人間、共存の道を探ろうとするが...
一方、猿の存在に気づいた人間の間にも動揺が広がる。生き延びるためは電力が必要で、森の奥の発電所を再起動する必要があったからだ。マルコムは再び一人で森を訪れ、シーザーと交渉。互いに信頼関係を築くことで、共存の道を探ろうとするが──。
仏小説家ピエール・ブールの原作「猿の惑星」発表から半世紀。猿と人類の戦いを描く壮大な物語は、最新技術を得て進化を続けている。シーザーを演じるサーキスは、全身に体の動きをとらえる器具をつけて演じ、CG(コンピューター・グラフィックス)キャラクターに反映させる専門俳優「モーション・アクター」の代表格。細かい表情、立ち姿、動作までリアルに猿を体現している。
猿たちの進化は進み、文明は人間並みに高度となっている。英語を話し、整然と集団で動き、馬に乗り、道具も使いこなす。迷いこんだ人間に毅然と立ち向かい、意見し、向き合う。猿というよりもはや人間に限りなく近い。表向きは異種同士の対立だが、人間同士が生存をかけて戦う物語にみえる。
猿を形作る最新技術も、モーション・アクターの演技も申し分ない。しかし、人間の相手が猿である理由はどこにあるのか。実は別の国や民族、特定のグループを、猿に見立てているのではないか。物語がシンプルでストレートなだけに、裏に隠された意図を考えてしまう。それほど技術的に高く、リアルな映像の作品だ。
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014年、米国)
監督:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル
2014年9月19日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。