車いすの少年が父とトライアスロンに挑むフランス映画「グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子」。緑豊かな山間の町・アヌシー地方を舞台に、家族の絆と成長を描く物語だ。
ジュリアン(ファビアン・エロー)は17歳。足に障がいを抱え、幼い頃から車いすで生活していた。美容師の母クレール(アレクサンドラ・ラミー)は、仕事と家事にフル回転。息子の世話も完ぺきにこなし、母子は固い絆で結ばれている。しかし、自分を今も子供扱いする母に、ファビアンはちょっぴり不満だった。
車いすに乗り、ばかげたことを言い、微笑みを浮かべる
一方、父ポール(ジャック・ガンブラン)は、息子と正面から向き合おうとしない。家から逃げるように遠方で働き、失業と同時に町に戻ってくる。ジュリアンは父の帰宅を喜ぶが、ポールは職探しを理由に家に寄りつかない。
父の態度に業を煮やしたジュリアン。意を決して「父さんとレースに出たい」と打ち明ける。手にしていたのは、障がいを抱えた息子と父がトライアスロン大会に出場したことを伝える記事だった。驚いたポールは「馬鹿なことを言うな」と取り合わない。しかし、父が昔選手だったことを知るジュリアンはあきらめない。
曲折の末に父をなんとか説得したものの、今度は母クロールが猛反対する。さらに大会の組織委員会にも参加を拒否される。レースへの思いを募らせるジュリアン。果たして大好きな父と、「鉄人レース」に参加できるのか──。
今年のフランス映画祭でオープニング作品として上映された「グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子」。風光明媚な山々を背景に、親子の成長を爽やかに描く人間ドラマだ。ニルス・タベルニエ監督は当初、ドキュメンタリー映画の製作を考えていたという。調査で病院を訪れた監督は、重度の障がいを抱えながら、生きる力にあふれる子供たちに出会い、劇映画化を決断した。
監督はフランス中の施設約170か所を歩き、主演のジュリアンにふさわしい若者を探した。車いすに乗り、ばかげたことを言い、微笑みを浮かべるエローを見て「彼は確かな輝きを放っている」と起用を決めた。監督の言葉通り、エローが生き生きと動き、レースに挑戦する姿は、観る者に元気を与えてくれる。
「グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子」(2013年、フランス)
監督:ニルス・タベルニエ
出演:ジャック・ガンブラン、アレクサンドラ・ラミー、ファビアン・エロー、パブロ・ポーリー、グザビエ・マシュー
2014年8月29日(金)、TOHOシネマズ 日本橋、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。