ドキュメンタリー映画「夢は牛のお医者さん」は、新潟県の地元テレビ局が、一人の少女の夢の始まりから現在までの26年間に密着取材したものだ。監督はテレビ新潟の時田美昭。ナレーションはアイドルグループ「AKB48」の横山由依が担当している。
テレビ放送作品を再編集
1987年。新潟の山あいにある児童わずか9人の小学校に子牛3頭が"入学"した。小3の少女が牛の世話をするうち抱いた夢は、「牛のお医者さん」になること。牛とのつらい別れを経て、家族や周囲の支え、郷里への強い思い。獣医になった少女は、母となり、かけがえのない命と向き合い今日も奮闘する。
発端は時田監督が報道記者だった27年前。「小学校に牛が入学した」ニュースの取材だった。その後「牛の卒業式」で涙を流す子供たちを見た監督は、数年後には廃校となる小学校に密着することを決意した。継続的な取材はやがて全国にも放送され、今回はテレビ放送作品を再編集。少女のその後と現在を新たに撮り下ろしている。
映画の幕開けは2001年。校庭に埋められたタイムカプセルが開けられ、子供たちの夢が次々と出てくる。同級生と喜んで見ているのが、主人公の高橋知美さん。彼女の人生が文字通り密着して描かれる。高校生になり、獣医になることを夢見、下宿して猛勉強。大学進学、インターン、国家試験、晴れて「牛のお医者さん」に──。
一人の少女に密着し、26年追い続けた作品。最初は「子供のたわごと」に思えた夢が、努力と熱意の末に実現される。粘り強く追い続けたスタッフも、彼女との出会いを運命と感じたのではないか。夢を抱く多くの人の背中を押す作品だ。
「夢は牛のお医者さん」(2014年、日本)
監督:時田美昭
出演:丸山知美
2014年3月29日(土)公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。