両親の結婚35周年を祝うため、家族10人が別荘に集まる。そこへキツネ、ヒツジ、トラのマスクをかぶった男3人現れ、突然家族を襲い始めるスリラー映画「サプライズ」。監督は「ビューティフル・ダイ」(10)の新鋭アダム・ウィンガードだ。
後半は誰も予想しない事態に
舞台は郊外の一軒家。動物のマスクを着けた男が、若いカップルを襲って殺害する。男は「次はお前だ」と書き残して姿を消す。翌日、現場に隣接する別荘にデーヴィソン夫妻が到着。誰もいないはずの別荘は入口の鍵が開いており、2階からは物音が聞こえる。そこに夫妻の結婚35周年祝いで家族が次々集まってくる。
全員そろって始まった夕食会。和やかなスタートだったが、長男と次男の些細な口げんかから雰囲気は険悪になっていく。末娘の恋人が窓の外に人の気配を感じ、外の様子をうかがうと、ガラスの割れる音が聞こえ、矢が恋人の額に刺さる──。
「サプライズ」は、限定空間を舞台にしたシチュエーション・スリラーだ。人里離れた別荘は、携帯電話の電波も届かない。そんな隔離された場所に、動物マスクの集団が出現。屋内に向けて矢を放ち、さまざまなわなを仕掛ける。すきあらば凶器を持って別荘に侵入、襲撃する。なんとか生き延びようとする家族。しかし、恐怖とサバイバル劇が展開する中盤までと一転。後半は誰も予想しない事態となる。
「スクリーム」シリーズ、「SAW」シリーズが進化した新しいタイプのスリラーだ。表情を読み取れない動物マスクがインパクトを与え、ため込まれたエゴイズム、ねたみ、欲望が殺人の原動力となる。その点が快楽殺人を描くホラーと異なっている。中盤までは殺人系ホラーと思わせながら、後半はハイテンションな展開に変化。凄惨なスプラッター描写は多いが、次第に黒い笑いも加わり、ラストは爽快感に包まれる。不思議な後味を味わえる新感覚スリラーだ。
「サプライズ」(2013年、米国)
監督:アダム・ウィンガード
出演:シャーニ・ヴィンソン、ニコラス・トゥイッチ、ウェンディ・グレン、A.J.ボーエン、タイ・ウェスト
2013年11月14日、TOHOシネマズ六本木ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。