本格正統派時代劇「蠢動 -しゅんどう-」が10月19日、公開される。今回が長編デビューとなる三上康雄監督は「自分の観たい時代劇映画がない。だから自分で作った。人それぞれが正義、立場を主張し戦う作品」と語る。
出演して欲しい俳優には直接電話をかけメールを送った
舞台は享保20年(1735年)の山陰・因幡藩。城代家老の荒木源義(若林豪)は、幕府から派遣された剣術指南役・松宮十三(目黒祐樹)に不審な動きがあると報告を受ける。荒木は用人の舟瀬太悟(中原丈雄)に偵察を命じる。
藩の剣術師範・原田大八郎(平岳大)は、父を亡くした藩士・香川廣樹(脇崎智史)と姉の由紀(さとう珠緒)から全幅の信頼を寄せられていた。剣術修行を望む香川のため、原田は力を尽くす。
一方、荒木の元に「松宮から幕府への密書」の存在が伝えられる。松宮は「因幡藩の内情をすべて探った」と記していた。藩を守るため、苦渋の決断を迫られる荒木。原田、香川、由紀も激動に飲み込まれていく──。
せりふ、色、音、すべてが削り込まれ、研ぎ澄まされた画面。原点は大学時代に観た「切腹」(橋本忍脚本、小林正樹監督)だった。「価値観を覆された。人それぞれが正義、立場を主張し戦う。そんな映画が撮りたくなった」という三上監督。24歳で16ミリの自主映画「蠢動」を撮った後、建築関連の家業に専念した。以来30数年。創業100年を機に会社をM&Aし、今回の長編「蠢動 -しゅんどう-」のメガホンを取る。
「時代劇の復興、再生と人に言われるが、そんな高い理想を掲げているわけではない。自分が観たいものを撮った。この作品は誰が主役でもない。観る人によって主役は変わり、何が正義かも異なる」
まったくゼロからのスタート。出演してほしい俳優の事務所に電話をかけ、電子メールを送り、思いのたけを伝えた。そんな監督の熱意に応え、ベテランから若手まで実力派俳優が顔をそろえた。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。